この記事でわかること
- 年末調整は、1年分の所得税の答え合わせ
- 外国人でも対象? 決め手は日本に住んでいるかどうか
- 会社から渡される書類は、おもに4種類
11月ごろに会社から渡される年末調整の書類は、毎月の給与から天引きされた所得税を、12月に1年分で精算するためのものです。外国人でも、日本に住んで働いていれば対象になります。台湾の親を扶養に入れたいときは、台湾の戸籍謄本に日本語訳を付けた書類と、送金の記録が要ります。2026年10月29日時点の内容です。
年末調整は、1年分の所得税の答え合わせ

毎月の給与から引かれている所得税(源泉徴収)は、仮の金額です。1年が終わるところで、本来の税額との差を会社が精算します。これが年末調整で、ほとんどの人はこれで確定申告をしなくて済みます。
法令では、その年の最後に給与を払うとき(ふつうは12月)にする手続きです。11月に書類が来るのは、会社が先に集めておくための段取りで、配る時期・締切・紙か電子かは会社ごとに違います。
外国人でも対象? 決め手は日本に住んでいるかどうか

国籍は関係ありません。国内に住所がある人、または引き続き1年以上居所がある人(居住者)なら、外国人の労働者でも同じ区分で年末調整をします。1年以上の予定で日本の会社に勤める人は、日本に来た日から居住者として扱われるのが原則です。
一方、非居住者には年末調整がなく、給与は原則20.42%の源泉徴収で完結します。給与が2,000万円を超える人なども対象外です。台湾に戻って非居住者になったあとの税金は「海外に住みながら熊本の家を持つ 買った後の管理・納税管理人・税金」にあります。
会社から渡される書類は、おもに4種類

会社から渡される書類は、おもに次の4つです。
| 書類 | 何を会社に伝える紙か |
|---|---|
| 扶養控除等(異動)申告書 | 扶養に入れる家族と、その事実 |
| 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書 | 基礎控除、配偶者、19〜22歳の親族などの控除(1枚にまとまった様式) |
| 保険料控除申告書 | 払った保険料の控除 |
| 住宅借入金等特別控除申告書 | 住宅ローン控除(2年目以降。この紙は税務署から本人に届き、会社に出します) |
来年分の扶養控除等申告書が、同じ時期に一緒に渡されることもあります。国税庁の「年末調整がよくわかるページ」には記載例があり、給与所得者向けの説明(各種控除について)には英語版もあります。
扶養控除等申告書には、マイナンバーを書く欄があります。通知書は、なくさないでおきましょう。手続きの全体は「熊本で暮らし始める最初の30日」にあります。
2026年分は改正の年:12月の計算が変わる

2026年分(令和8年分)は、税制改正の年です。施行は2026年12月1日で、11月までの毎月の天引きは、これまでと変わりません。12月の年末調整で、改正後の控除で1年分を計算し直して、天引きした分と精算します。
| 項目 | これまで | 2026年分から |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 58万円(加算込みで最大95万円) | 62万円(加算込みで最大104万円) |
| 給与所得控除の最低額 | 65万円 | 74万円(令和8・9年分) |
| 扶養親族の所得の線(合計所得) | 58万円以下 | 62万円以下(給与だけなら収入136万円以下) |
| 一般の生命保険料控除の上限(新生命保険料。23歳未満の扶養親族がいる人) | 4万円 | 6万円 |
控除の金額が変わるので、年末調整の結果は人によって違います。今年は、改正で新しく扶養の対象になった家族がいないか、見直す年です。新しく対象になった親族がいる人は、扶養控除等(異動)申告書の提出が必要です。
19〜22歳の親族の特定親族特別控除は、2025年分から始まった制度です。2026年分は、親族の所得の区切りが62万円超123万円以下に変わりました。2027年1月からは、源泉徴収税額表が変わり、防衛特別所得税(所得税額の1%)が始まります。復興特別所得税は2.1%から1.1%に下がり、合計の2.1%は同じです。
台湾の親を扶養に入れる条件:30〜69歳は送金年38万円以上が条件の一つ

日本の外に住む家族を扶養控除の対象にできるかは、2023年分から年齢で分かれます。年齢は、その年の12月31日時点です。
| 家族の年齢 | 申告書を出すとき | 年末調整のとき |
|---|---|---|
| 16〜29歳 | 親族関係書類 | 送金関係書類 |
| 30〜69歳(年38万円以上の生活費・教育費の送金を受けている人) | 親族関係書類 | 38万円送金書類 |
| 70歳以上 | 親族関係書類 | 送金関係書類 |
2026年分の生年月日では、30歳未満が1997年1月2日以後の生まれ、70歳以上が1957年1月1日以前の生まれです。50〜60代の親は、30〜69歳の区分に入ります。30〜69歳は、年38万円以上の送金のほか、障害者や留学の区分でも対象になります。ただし「障害者」は日本の所得税法の基準で判断され、台湾など外国で交付された障害者手帳は、日本の障害者手帳の代わりになりません。ただし「留学」は、日本から外国へ留学して日本に住所がなくなった人の区分で、台湾に住む親には当たりません。30〜69歳でどれにも当たらない人は、対象外です。
このほかに、家族本人の所得の条件があります。台湾の親に年金などの収入がある場合、それを日本の所得の条件にどう数えるかは、国税庁の公開資料では読み取れませんでした。親に収入があるなら、会社の担当者か税務署に聞く項目です。
配偶者や19〜22歳の子を国外から扶養に入れるときも、親族関係書類と送金関係書類が要ります。
親族関係書類:台湾の戸籍謄本と日本語訳

台湾の家族の場合、親族関係書類は、外国政府が発行した書類で出します。国税庁は、その例に「戸籍謄本その他これに類する書類」を挙げています。条件は、親族の氏名・生年月日・住所(または居所)が載っていて、あなたの親族だと分かることです。謄本にこの3つが全部載っているかを見て、足りなければ出生証明書などを足します。複数の書類を組み合わせてかまいません。戸籍謄本1枚で足りるとは限りません。
- 日本語訳が要ります。 台湾で取れる英文の戸籍謄本も外国語なので、日本語訳は別に要ります。誰が訳せばよいか(本人の訳でよいか、翻訳者の署名が要るか)は、法令や国税庁の資料に書かれていません。会社の担当者に、先に聞いておく項目です。
- 原本が要ります。 電子版の謄本を印刷したものが原本に当たるかは、資料に書かれていません。電子版を印刷したものが通るかは、資料からは読み取れません。
- 毎年見せる準備が要ります。 申告書を出すたびに提出(提示)するのが基本で、変更がなければ、前年に出した書類の再提示でもかまいません。発行日の期限は決まっていませんが、数か月以上前の発行だと、関係に変わりがないかを聞かれることがあります。
- 親の謄本に、あなたが載っていないことがあります。 台湾に一度も入国しないまま出国から2年以上たつと、台湾の戸籍法により「遷出」の登記がされます。この場合、親の今の謄本に、あなたが現住として載っていない可能性があります。親子関係が1枚で読めないときは、出生証明書などを組み合わせます。
送金関係書類:父と母は別々に、現金の手渡しは書類にならない

年末調整のときに出すのが、送金の記録です。次のものが、送金関係書類になります。
- 銀行などの外国送金で、本人から親族に払ったと分かる書類(外国送金依頼書の控え、ネット送金の利用明細、通帳の写しも、送金者・受取人・送金日・金額が載っていれば可)
- 家族カード(本人が契約して、親族が使うクレジットカード)の利用明細
- 電子決済手段等の取引業者を通した移転の書類
- 台湾の銀行の明細など、外国語の送金書類にも日本語訳が要ります。
決めどころは3つです。
- 父と母には、別々に送ります。 父と母の分をまとめて母に送ると、母の分にしかならず、父の書類になりません。海外の共同名義の口座に送った場合も、各人に送ったと分からなければ書類になりません。
- 現金の手渡しは、書類になりません。 手渡しした現金は送金関係書類がない扱いで、扶養控除を受けられません。「現金で渡した」という申立書も使えません。
- 送金した日の年で数えます。 12月末でも、送った日がその年なら今年分です。複数年分をまとめて送っても、送った年の分にしかなりません。送金手数料は、送金書類に記載があれば38万円に含められます。台湾元で何元になるかは、レートで動くので、ここでは書きません。
年に3回以上送ったときは、明細書を出すと、最初と最後の送金書類だけで済みます。最初と最後の合計が38万円に届かなければ、届くところまで書類を足します。出さなかった分の書類は、自分で保管しておきます。年末調整のときは、申告書の「生計を一にする事実」の欄に、その年の送金額の合計を書き足します。
会社に出す前の、そろえるものチェック表

| そろえるもの | 出すとき | ひと言 |
|---|---|---|
| 親族関係書類(台湾の戸籍謄本など)の原本 | 扶養控除等申告書を出すとき | 父・母それぞれ。氏名・生年月日・住所が載っているか |
| 日本語訳 | 同じとき | 誰が訳すかは、末尾の聞き先の表へ |
| 送金の記録(父・母それぞれ) | 年末調整のとき | 送金者・受取人・日付・金額が載っているもの。外国語なら日本語訳も |
| 今年の送金合計額のメモ | 年末調整のとき | 「生計を一にする事実」の欄に書く |
間に合わないとき、迷ったときの聞き先

年末調整に間に合わなかったときは、年末調整のあとでも、源泉徴収票ができる前に送金書類を出せば、会社が年末調整を計算し直してくれることがあります(するかどうかは会社の判断です)。源泉徴収票ができたあとは、本人が確定申告をします。源泉徴収票は、翌年1月31日までに会社から渡されます。
住民税の扱いは、国税庁も市区町村に聞くよう案内しています。住んでいる市役所・町役場の窓口で聞きます。
| 聞きたいこと | 聞き先 |
|---|---|
| 書類の出し方・締切・紙か電子か・誰が訳すか | 会社の担当者 |
| 制度の決まり | 管轄の税務署(熊本市は中央・西・南・北区が熊本西、東区が熊本東。合志市・菊陽町・大津町は菊池税務署) |
| 自分の税額、台湾の親の収入の扱い | 税理士 |
| 住民税 | 住んでいる市役所・町役場 |
※2026年10月29日時点の情報です。扶養に入れられるか、税額がいくらになるかは、家族の状況と所得で決まります。個別の判断は、会社の担当者、税務署、税理士へ。当サイトを運営する株式会社iSELLは税理士ではなく、個別の税務相談は受けていません。特定の会社・事務所の広告ではなく、掲載料はいただいていません。
次にすること
- 会社の担当者に、書類の締切と、日本語訳は誰が作ってよいかを聞く
- 税金や手続きで困ったときの窓口は、「熊本の外国人相談窓口一覧」で探す
- 在留資格や仕事のことは、「外国人が熊本で働くとき、まず確かめる在留資格と仕事の探し方」へ
- 同じ書類をどうそろえたか、熊本で働く台湾の人の話は、atlas TALK の「お金と手続き」で聞いてみる
出典
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」Ⅰ 改正の内容(令和8年分。2026年12月1日施行、基礎控除・給与所得控除・所得要件)
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」Ⅱ 年末調整とは(対象になる人、外国人の労働者を含む)
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」提出される書類(扶養控除等(異動)申告書ほか)
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」令和9年分の源泉徴収税額表(防衛特別所得税・復興特別所得税)
- 国税庁「令和8年分 各種控除について」(給与所得者用。英語版 302_en.pdf もあります)
- 国税庁「年末調整がよくわかるページ」(記載例)
- 国税庁「国外居住親族に係る扶養控除等Q&A(源泉所得税関係)」(令和8年8月最終改訂)
- 国税庁リーフレット「非居住者である親族について扶養控除等の適用を受ける方へ」(令和7年6月)
- 国税庁「国外居住親族に係る扶養控除等の適用を受ける方へ」(案内ページ)
- 所得税法施行規則 第73条の2(親族関係書類・送金関係書類。e-Gov法令検索、2026年10月29日閲覧)
- 所得税法 第2条第1項第34号の2(扶養親族。e-Gov法令検索、2026年10月29日閲覧)
- 国税庁 タックスアンサー No.1180「扶養控除」
- 国税庁 タックスアンサー No.2875「居住者と非居住者の区分」
- 国税庁 タックスアンサー No.7411「源泉徴収票の交付」
- 国税庁「日本における給与に係る源泉徴収制度の概要」(令和7年10月。簡体字の中国語版あり)
- 内政部(台湾)「英文戸籍謄本発行の作業要点」(2025年7月4日修正)
- 戸籍法(台湾)第16条(出国2年以上の遷出登記。2026年10月29日閲覧)
- 熊本国税局「税務署所在地・案内(熊本県)」(2026年10月29日閲覧)
この記事を読んだあとに
仕事や職場のことは、同じ立場で働いている人の経験も参考になる。









