この記事でわかること
- 国の統計で見る、菊陽・合志の平均家賃
- 広さをそろえると、見え方が変わる
- 背景にある、工場の進出と地価の動き
「菊陽や合志は家賃が上がったと聞くけれど、実際はいくらなのか」。熊本に来る前に、多くの方が気にする点です。
国の統計(総務省「住宅・土地統計調査」、2023年10月1日時点)では、菊陽町・合志市の借家の平均家賃は、どちらも月5万円台前半でした。5年前と比べると、菊陽町は13.0%上がっています。
この統計で分かるのは、いま住んでいる人の平均家賃までです。これから借りる部屋の相場は、読み取れません。
数字の読み方さえつかめば、部屋探しはぐっと楽になります。
国の統計で見る、菊陽・合志の平均家賃

住宅・土地統計調査は、総務省が5年ごとに行う住まいの調査です。市と、人口1万5千人以上の町村については、市区町村ごとの結果が公表されています。
表1:借家(専用住宅)の1か月当たり家賃の平均(家賃0円の住宅を除く)
| 地域 | 2018年 | 2023年 | 5年間の変化 |
|---|---|---|---|
| 菊陽町 | 44,895円 | 50,752円 | +13.0% |
| 合志市 | 49,294円 | 51,384円 | +4.2% |
| 大津町 | 44,786円 | 44,315円 | -1.1% |
| 熊本市 | 46,257円 | 48,992円 | +5.9% |
| 熊本県 | 42,783円 | 45,610円 | +6.6% |
| 全国 | 56,875円 | 60,630円 | +6.6% |
出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」第112-3表、「平成30年住宅・土地統計調査」第113-3表(2018年の項目名は「家賃・間代」)。各年10月1日時点。
ここでの「借家」には、民間のアパート・マンションのほか、公営住宅や社宅も含まれます。共益費・管理費は含みません。2023年の共益費・管理費の平均(0円を除く)は、菊陽町が5,152円、合志市が3,265円でした。
広さをそろえると、見え方が変わる

月額の平均は、部屋の広さの違いに左右されます。民間の賃貸住宅(民営借家)に絞って延べ面積1㎡当たりの家賃で見ると、様子が変わります。
表2:民営借家の延べ面積1㎡当たり家賃(家賃0円の住宅を除く)
| 地域 | 2018年 | 2023年 | 5年間の変化 |
|---|---|---|---|
| 菊陽町 | 1,086円 | 1,138円 | +4.8% |
| 合志市 | 981円 | 1,095円 | +11.6% |
| 大津町 | 1,033円 | 1,020円 | -1.3% |
| 熊本市 | 1,052円 | 1,152円 | +9.5% |
| 熊本市中央区 | 1,165円 | 1,295円 | +11.2% |
| 熊本県 | 963円 | 1,042円 | +8.2% |
| 全国 | 1,384円 | 1,509円 | +9.0% |
出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」第122-4表、「平成30年住宅・土地統計調査」第123-4表。
面積当たりで見ると、2023年10月時点の菊陽町は熊本市平均とほぼ同水準、合志市はやや低い水準です。中心部の熊本市中央区よりは低くなっています。
菊陽町は月額で13.0%上がった一方、1㎡当たりでは4.8%にとどまります。月額の伸びには、広めの部屋が増えたことなど、住宅の中身の変化も含まれている可能性があります(統計からは理由までは分かりません)。なお表1は公営住宅や社宅を含む借家全体、表2は民営借家だけの数字です。
背景にある、工場の進出と地価の動き

菊陽町には、tsmc の子会社 jasm の熊本第1工場があります。jasm の資料では、第1工場の量産開始は2024年第4四半期、従業員数は約1,900名(2025年1月1日時点、派遣社員を含む)です。
土地の値段も動いています。国の地価公示(毎年1月1日時点)と、県の地価調査(毎年7月1日時点)で、住宅地の平均変動率は次のとおりです。
表3:住宅地の平均変動率
| 地域 | 地価公示 2025年1月 | 地価公示 2026年1月 | 地価調査 2025年7月 | 地価調査 2026年7月 |
|---|---|---|---|---|
| 菊陽町 | +12.4% | +6.3% | +8.2% | +3.6% |
| 合志市 | +9.9% | +6.3% | +4.2% | +3.4% |
| 大津町 | +11.3% | +5.6% | +6.8% | +4.0% |
出典:熊本県「令和8年地価公示(熊本県分)資料」(2026年3月18日)、熊本県「令和8年熊本県地価調査 参考資料」(2026年9月16日)。地価公示と地価調査は調べる地点が違うため、横に並べた数字は同じ土地の動きではありません。
熊本県の資料は、大津町・菊陽町・合志市の地価(全用途)について「近年大きく上昇してきたが、R8地価公示では、上昇幅が縮小した」としています。2026年7月時点の地価調査でも上昇は続いていますが、上昇幅はさらに小さくなりました。
住む人も増えています。菊陽町の公表値(町の「ひとのうごき」)では、2026年1月の世帯数は19,870世帯、9月は20,588世帯でした。8か月で約3.6%の増加です。
また、熊本県の資料には、2024年7月時点の地価調査を担当した不動産鑑定士の見通しとして、菊陽町での供給不足を背景に、需要が熊本市東区・北区、菊池市、西原村などの周辺に広がっているとの記載があります。
統計を読むときの3つの注意

1. 「いま住んでいる人」の平均です この調査の家賃は、何年も前から住んでいる人も含めた平均です。いま募集されている部屋の家賃は、これより高いことも低いこともあります。新しく借りる人の相場を示す公的な統計は、市町村単位では見当たりませんでした。
2. 2023年10月時点の数字です jasm 第1工場の量産開始(2024年第4四半期)より前の時点です。その後の変化は、この統計には入っていません。総務省統計局は、2026年9月に「令和10年(2028年)住宅・土地統計調査に関する研究会」のページを設けています。
3. 推計値で、町ほど誤差が大きくなります この調査は全国約340万の住戸・世帯を抽出して行う標本調査です。統計局は、住宅数などの主な項目について、市区では標準誤差率5%以下、人口1万5千人以上の町村では10%以下を目標精度としています。家賃の平均はその対象外で、町の数字ほど誤差が大きくなりえます。数百円の差を、そのまま優劣と読まないことをおすすめします。
なお、本記事の家賃(2023年10月)と地価(2026年1月・7月)は、いずれも2026年7月28日の地震(令和8年熊本地震)より前の時点の数字です。地震後の動きは反映されていません。
いま募集されている部屋の家賃は、広さ・築年数・駅や工場までの距離で大きく変わります。条件をそろえて、不動産店で複数の部屋を比べると、相場の感覚がつかみやすくなります。
数字だけでは分からない「この家賃で、どんな暮らしになるか」は、実際に住んでいる人の話が参考になります。atlas TALK では「買う・借りる前に」「住んでいる人の声」のテーマで、熊本に住む人に質問できます。→ atlas TALK で、住んでいる人に聞く
まとめ

| 論点 | 数字・事実 | 読み方 |
|---|---|---|
| 平均家賃(2023年10月) | 菊陽町 50,752円、合志市 51,384円 | 熊本市(48,992円)よりやや高く、全国(60,630円)より低い |
| 5年間の変化(月額) | 菊陽町 +13.0%、合志市 +4.2% | 菊陽町の伸びが目立つ(1㎡当たりでは+4.8%) |
| 1㎡当たり(民営借家) | 菊陽町 1,138円、合志市 1,095円 | 菊陽町は熊本市平均(1,152円)とほぼ同水準、合志市はやや低い |
| 住宅地の地価 | 地価公示(2026年1月)は両市町とも +6.3%、地価調査(2026年7月)は菊陽町 +3.6%・合志市 +3.4% | 上昇は続くが、上昇幅は縮小している |
| 統計の限界 | 既存入居者の平均・2023年10月時点・推計値 | 新しく借りる家賃は、募集中の部屋で確認する |
家賃や地価は、今後も動きます。この記事の数字は、過去の一時点の記録として使ってください。
いま募集されている家賃の感覚や、通勤・渋滞・買い物などの住み心地は、統計には出てきません。ここは atlas TALK で、菊陽・合志に住んでいる人に聞いてみるのがいちばんです。
→ atlas TALK で、住んでいる人に聞く(テーマ「買う・借りる前に」「住んでいる人の声」)
熊本のマンションの値段を台湾の坪単価と同じ物差しで比べるなら「熊本のマンション価格と地価は台北の何分の1?」。
数字の読み方がつかめたら、あとは部屋探しを楽しんでください。
※2026年10月時点の情報です。家賃・地価の数字は、本文に示した時点のものです。
出典
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」第112-3表・第122-4表(e-Stat、2024年9月25日公表)
- 総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」第113-3表・第123-4表(e-Stat)
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 調査の概要」
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査の標本抽出方法及び結果の推定方法」
- 熊本県「令和5年住宅・土地統計調査結果 住宅及び世帯に関する基本集計(熊本県分の概要)」
- 熊本県「令和8年地価公示(熊本県分)資料」(2026年3月18日)
- 熊本県「国土利用計画法に基づく土地取引規制制度の運用に係る基礎資料」(資料1別冊)
- 熊本県「令和8年熊本県地価調査 参考資料」(2026年9月16日)
- 総務省統計局「住宅・土地統計調査」(令和10年住宅・土地統計調査に関する研究会のページ開設、2026年9月17日)
- 菊陽町「ひとのうごき」(月別人口・世帯数)
- jasm「工場概要説明」(2025年1月27日、内閣官房 国内投資拡大フォーラム第6回 資料1)
写真の出典
- 写真 3:Keeteria(CC BY-SA 4.0)/ Wikimedia Commons
この記事を読んだあとに
家賃や住み心地は、住んでいる人の経験も参考になる。
