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自然増も社会増もプラスは菊陽町だけ?
熊本の人口、期間で変わる読み方

直近12か月で、出生が死亡を、転入が転出を上回った市町村は、熊本県内で菊陽町だけ。ところが1つ前の月の月報では4市町が並びます。台湾籍は1年半で約1.5倍の495人に。期間を見分ければ、人口は住む町選びの手がかりになります。

2026年10月26日 更新atlas 編集部(株式会社iSELL)約8分で読めます

山並みを背にした郊外の住宅地

この記事でわかること

  • 自然増と社会増:増えた人数の中身
  • 12か月でも、最新の月でも、両方プラスは菊陽町だけ
  • 1つ前の月(2026年7月)は、4市町が並ぶ

熊本県内で、生まれた人が亡くなった人を上回り(自然増)、しかも入ってきた人が出ていった人を上回っている(社会増)のは、菊陽町だけ。そう聞くと、ずっと人が増え続けている町を思い浮かべるかもしれません。

県の月報を12か月分足し合わせると、2025年8月〜2026年7月の1年間は、たしかに両方プラスなのは菊陽町だけでした。ところが、1つ前の月の月報では、両方プラスが4市町あります。どの期間で見るかで、答えが動くんです。期間に気をつけながら、菊陽町の「増え方の中身」をのぞいてみましょう。

数字は2026年10月26日時点のものです。最新の月報は9月1日現在(2026年8月の1か月の動き)です。

自然増と社会増:増えた人数の中身

机の上に広げたグラフの資料と電卓、ノート

人口の増減は、2つに分けて読みます。

  • 自然増減:出生−死亡。プラスなら「生まれた人のほうが多い」
  • 社会増減:転入−転出。プラスなら「入ってきた人のほうが多い」

熊本県の月報の社会増減には、県内の別の市町村や県外からの移動だけでなく、外国との出入りも入っています。国内の引っ越しだけの数字ではありません。

12か月でも、最新の月でも、両方プラスは菊陽町だけ

完成した家と建築中の家が並ぶ郊外の分譲地

直近12か月(2025年8月〜2026年7月)

菊陽町は、出生374人・死亡307人で自然増+67人、転入3,107人・転出2,790人で社会増+317人でした。合わせて384人の増加で、そのうち約8割が社会増です。県内で自然増だったのは、この12か月は菊陽町だけでした。

近くの市町と並べると、中身の違いがよく見えます。

  • 合志市:自然−53人、社会+479人(合わせて+426人)
  • 大津町:自然−44人、社会+396人(合わせて+352人)
  • 嘉島町:自然−26人、社会+208人(合わせて+182人)
  • 熊本市:自然−3,016人、社会−86人(合わせて−3,102人)

合志市は、増えた人数そのものは菊陽町より多いのに、自然増減はマイナスです。

この12か月の数字は、県の月報12本(2025年9月1日現在〜2026年8月1日現在)を atlas 編集部が足し合わせたもので、県が公表している値ではありません。1か月ずらして2025年9月〜2026年8月で見ても、両方プラスは菊陽町だけです。この12か月には、2026年7月28日の令和8年熊本地震の時期も入っています。

最新の月報(9月1日現在、2026年8月の1か月)

この月に自然増だった市町村は、県内で菊陽町だけです(出生34人・死亡29人で+5人)。社会増も+70人(転入252人・転出182人)で、両方プラスも菊陽町だけでした。ほかの3市町は、社会増でも自然減です。

  • 合志市:自然−1人、社会+72人
  • 大津町:自然−15人、社会+137人
  • 嘉島町:自然−8人、社会+20人

1つ前の月(2026年7月)は、4市町が並ぶ

壁掛けカレンダーをめくる手元

1つ前の月報(8月1日現在、2026年7月の1か月)では、自然増と社会増がそろってプラスの市町村が4つありました。

  • 合志市:自然+3人、社会+15人
  • 大津町:自然+8人、社会+101人
  • 菊陽町:自然+16人、社会+78人
  • 嘉島町:自然+2人、社会+20人

つまり「菊陽町だけ」は、12か月の合計や9月1日現在の月報では成り立ち、8月1日現在の月報では成り立ちません。見出しの言葉が正しいかどうかは、どの期間を指しているかで決まります。

自然増は「続いている」のではなく、いちど縮んで戻った

公園のベンチのそばに置かれたベビーカーとボール

県の年報(各年10月1日現在。前の年の10月から当年9月までの1年間の動き)で見ると、菊陽町の自然増減は次のとおりです。

年報の年菊陽町の自然増減自然増の市町村数
2020年+219人4
2021年+165人3
2022年+135人2
2023年+107人1(菊陽町のみ)
2024年+2人1(菊陽町のみ)
2025年−17人0

出典:熊本県「熊本県の人口(年報)」各年版。市町村の数は、熊本市を1つとして数えています。

菊陽町の自然増は、2020年の+219人から2024年の+2人まで縮み、2025年(2024年10月〜2025年9月)はマイナスになりました。この年は、県内に自然増の市町村がひとつもありませんでした。出生は485人から355人に減り、死亡は266人から372人に増えています(2020年と2025年の比較)。

そのあと、直近12か月(2025年8月〜2026年7月)で+67人にプラスへ戻りました。年報の1年(10月〜9月)と12か月の合算(8月〜7月)は期間が違うので、2つを同じ線の上に並べることはできません。戻ったとはいえ、+67人は2020年の+219人の約3割です。

菊陽町に自然増が出る背景:言えることと言えないこと

朝の駅前を歩く若い人たちの後ろ姿

資料から言えることは、次のとおりです。

  • 65歳以上の割合が低い:22.2%(2025年)。熊本県は32.8%、熊本市は27.8%で、合志市24.5%・大津町22.8%を含む4市町のなかでもいちばん低い数字です
  • 亡くなる人が少ない:人口1,000人あたりの死亡は、菊陽町8.3人、熊本県14.7人です(2025年の年報から atlas 編集部が計算)。年齢構成をならした標準化死亡比(全国=100)も、男82.2・女80.4と低めです(厚生労働省、2018〜2022年の5年分)
  • 出生率が高め:合計特殊出生率は1.78で、熊本県の1.60、全国の1.33を上回ります(同じ5年分。日本人女性の人口で算出)
  • 20代の転入が多い:2025年の国内の転入超過は、20〜29歳で+219人でした(総務省。外国との出入りは含みません)

ただし、これだけで「若い町だから自然増」とは書けません。合志市は、合計特殊出生率が1.88、0〜14歳の割合が18.0%と、どちらも菊陽町(15.4%)より高いのに、自然減です(2025年の年報で−172人、12か月の合算で−53人)。菊陽町の0〜14歳の割合も、2020年の17.2%から2025年の15.4%へ下がっています。

20代がなぜ菊陽町を選ぶのか、2025年になぜ自然減になったのかは、統計だけでは決められません。

台湾籍の人口:菊陽町は495人(2025年6月末)

小籠包とごはん・味噌汁が並ぶ食卓

台湾から熊本に来る人にとって気になる、台湾籍の人数も見ておきます。

法務省の在留外国人統計では、菊陽町の台湾籍は2025年6月末で495人でした。菊陽町の外国人1,146人のなかで、いちばん多い国籍です。2023年12月末は340人だったので、1年半で約1.5倍になりました。同じ2025年6月末で、熊本県全体は2,108人、熊本市1,001人、合志市216人、大津町272人です(出入国在留管理庁「在留外国人統計」の市区町村別・国籍別の表を atlas 編集部が集計)。

住む町を考えるときの、人口の読み方

丘の上から住宅地を眺める人の後ろ姿
  • 期間を見る:「増えた」「唯一」と書いてあったら、何か月分か、いつからいつまでかを探します。1か月と12か月では、同じ町でも結果が変わります
  • 自然増と社会増を分けて見る:菊陽町の増加は、約8割が転入超過です。出生と死亡の差は+67人と、かなり小さな数字です
  • 人口の増減は、暮らしやすさの点数ではない:人が増えている町が、家賃や通勤、子育てで自分に合うとは限りません。どの軸が大事かは、人によって違います

人口の増え方を4つの市町で並べた表と、ほかの5つの軸(通勤・家賃・子育て・病院と買い物・災害)は「菊陽・合志・大津・熊本市、住むならどこ? 比べる6つの軸」に。菊陽町の家賃が5年でどう動いたかは「菊陽・合志の家賃は上がった?」で、国の統計から読んでいます。

熊本のマンションの値段を台湾の坪単価と同じ物差しで比べるなら「熊本のマンション価格と地価は台北の何分の1?」。

人口からは、町の雰囲気や、通勤・買い物の便利さは見えません。そこは、熊本に住んでいる人に聞くのがいちばんです。数字と住む人の声がそろえば、町はぐっと選びやすくなります。


次にすること

※2026年10月26日時点の情報で、特定の市町や物件をすすめるものではありません。12か月の数字は、熊本県の月報を atlas 編集部が足し合わせたもので、県の公表値ではありません。月報は2020年の国勢調査をもとにした推計です。台湾籍の人数は、出入国在留管理庁「在留外国人統計」をもとに atlas 編集部が加工して作成しました。

出典

  1. 熊本県「令和8年(2026年)熊本県の人口と世帯数(月報)」(2026年9月29日更新。2026年8月1日現在・9月1日現在の市町村別の出生・死亡・転入・転出)
  2. 熊本県「令和7年(2025年)熊本県の人口と世帯数(月報)」(12か月分の合算に使った2025年9月1日現在〜12月1日現在の月報)
  3. 熊本県「熊本県の人口(年報)」令和7年10月1日現在(第1表 市区町村別の人口動態、第3表 年齢3区分別人口。2026年3月6日更新)
  4. 熊本県「熊本県の人口(年報)」令和6年10月1日現在
  5. 熊本県「熊本県の人口(年報)」令和5年10月1日現在
  6. 熊本県「熊本県の人口(年報)」令和4年10月1日現在
  7. 熊本県「熊本県の人口(年報)」令和3年10月1日現在
  8. 熊本県「熊本県の人口(年報)」令和2年10月1日現在
  9. 熊本県「熊本県の免責事項・リンク等」(県サイトの数字を使う際の条件。表やPDFは転載せず、数字を出典つきで使っています)
  10. 厚生労働省「平成30年〜令和4年 人口動態保健所・市区町村別統計」(2024年4月公表。合計特殊出生率・標準化死亡比)
  11. 総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」2025年 表11-3 年齢(5歳階級)、男女別転入超過数(e-Stat。国内の移動のみ)
  12. 出入国在留管理庁「在留外国人統計」2025年6月末 表25-06-t2 市区町村別 国籍・地域別 在留外国人(e-Stat。atlas 編集部が加工して作成)
  13. 熊本県国際課「熊本県の国際交流 令和6年度版」(令和7年3月発行。法務省「在留外国人統計」2023年12月末現在の市町村別・国籍別)
  14. 内閣府「令和8年熊本地震に係る被害状況等について」(令和8年10月5日12時現在)

この記事を読んだあとに

家賃や住み心地は、住んでいる人の経験も参考になる。

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