この記事でわかること
- 外国人でも買える。ただし手続きが少し増える
- 買うまでの流れ
- 買うときにかかる税金と費用
結論から書きます。外国籍の方も、海外に住んだままの方も、日本の不動産は買えます。 契約は郵送とオンラインで進められる場合があり、決済の日だけ来日する方もいます。
ただし、日本人が買う場合と比べて手続きが二つ三つ増えます。2026年には、外為法の報告と登記の申請内容が相次いで変わりました。順番さえ分かれば、慌てることはありません。
外国人でも買える。ただし手続きが少し増える

財務省は、海外に住む人(非居住者)が日本の不動産を取得することを前提に、取得後の報告の手続きを案内しています。外国籍の方でも買えますが、農地や、後述する安全保障上の区域では別の手続きがあります。
外国人・海外在住者に関係する手続きは、主に次の四つです。
| 手続き | 対象 | 中身 |
|---|---|---|
| 外為法の取得報告 | 非居住者 | 不動産(所有権)を取得したら、取得から20日以内に日本銀行経由で財務大臣へ報告。2026年4月1日以降の取得からは、自分や親族の住まい・自分の事務所にする場合も報告が必要になった |
| 登記での国籍の申出 | 所有権の保存・移転の登記で新たに所有者になる人(日本人を含む) | 2026年10月5日施行。外国籍の人は有効期限内の旅券・在留カードの写しや、国籍が載った住民票などを添付する。日本国籍の人は本籍の載った住民票など(住民票コードを書けば省略できる)。国籍は登記簿には公開されない |
| 国土利用計画法の事後届出 | 一定面積以上の土地の買主(国籍を問わない) | 契約日を含めて2週間以内に、市町村を経由して知事へ届出。市街化区域は2,000㎡以上、その他の都市計画区域は5,000㎡以上、都市計画区域外は1ha以上が対象。2026年4月から、法人の買主は代表者等の国籍も記載する |
| 重要土地等調査法の届出 | 特別注視区域の土地・建物 | 土地は1筆、建物は1個(床面積の合計)が200㎡以上なら、売主・買主の双方が契約の前に内閣府へ届出。熊本県では、健軍駐屯地(熊本市)・北熊本駐屯地(熊本市・合志市)などの周辺が特別注視区域 |
外為法の報告は、金額や面積にかかわらず必要です。報告書は日本語で書く必要がありますが、日本に住む代理人(仲介会社など)が提出することもできます。報告をしなかった場合や虚偽の報告には罰則があります(財務省FAQ)。
2026年4月の改正で、報告が要らないのは「自分の住まい・事務所などにするための、不動産に関する権利(賃借権など)の取得」に限られました。不動産そのもの(所有権)を買う場合は、住む目的でも報告が必要です(財務省、2026年2月20日発表・4月1日施行、FAQ 2026年6月版)。別荘・セカンドハウスは住まいに当たりません。
「居住者」か「非居住者」かは国籍で決まりません。外為法上は、財務省FAQで、外国人でも日本の事務所に勤めている人や、入国から6か月以上たった人は、原則として居住者として扱うとしています。税金での判定はこれと基準が違います(5章)。
買うまでの流れ

一般的な流れは次のとおりです。期間は物件や書類の準備で大きく変わります。
- 物件探し・資料請求:価格、権利関係、用途地域などを確認します。
- 現地確認:来日するか、動画・図面で確認します。
- 購入の申込み(買付証明):価格や引渡し時期の希望を書面で伝えます。
- 重要事項説明・売買契約:宅地建物取引士が、権利や法令上の制限を書面で説明したあと、契約します。手付金を支払います。
- 決済・登記:残代金を支払い、司法書士が所有権移転登記を申請します。海外在住の方は、住民票や日本の印鑑証明の代わりに、本国の書類(住所の証明、署名や印鑑の証明など)を用意します。何が使えるかは司法書士に聞きます。2026年10月からは国籍を示す書類(旅券の写し等)も加わりました。
- 取得後の手続き:非居住者は20日以内に外為法の報告。不動産取得税は、登記からおよそ5か月〜1年後に納税通知書が届きます。
日本の金融機関の住宅ローンは、日本に住んでいない人には利用が難しいことが多く、自己資金で買う人が多いのが実情です。
買うときにかかる税金と費用

取得時の主な税金・費用です(2026年10月時点)。
| 費目 | 金額・税率 | 根拠 |
|---|---|---|
| 印紙税(売買契約書) | 1,000万円超5,000万円以下は1万円、5,000万円超1億円以下は3万円(軽減措置。2027年3月31日までに作成する契約書) | 国税庁 No.7108 |
| 登録免許税(土地の売買) | 固定資産税評価額の1.5%(本則2%。2029年3月31日までの登記) | 国税庁 No.7191 |
| 登録免許税(建物の売買) | 固定資産税評価額の2%。個人が自分の住まいにする一定の住宅(床面積50㎡以上・取得から1年以内の登記・市町村などの証明書が必要)は0.3%(2027年3月31日までの取得) | 国税庁 No.7191 |
| 不動産取得税(熊本県) | 土地・住宅は3%(2027年3月31日までの取得)、住宅以外の建物は4%。宅地は評価額の2分の1が課税標準(2027年3月31日までの取得) | 熊本県 |
| 仲介手数料 | 上限は売買価格のうち200万円以下の部分5%、200万〜400万円の部分4%、400万円超の部分3%(+消費税)。800万円以下の物件は、調査などの手間に応じて通常の計算額を超え、最大33万円(税込)まで受け取れる特例がある(媒介契約の際に、あらかじめ説明と合意が必要) | 国土交通省告示 |
| 司法書士報酬・海外送金手数料 | 依頼先・金融機関により異なる | ― |
押さえておきたい点が二つあります。
一つ目は、登録免許税と不動産取得税は、売買価格ではなく固定資産税評価額にかかることです。売買価格に税率を掛けると、多めに見積もることになります。なお、建物の登録免許税0.3%の軽減は、取得した人が実際に住む家に限られ、登記の申請時に市町村の証明書が要ります。海外に住んだまま買う場合や別荘として使う場合が対象になるかは、司法書士に聞くところです。
二つ目は、不動産取得税は後から届くことです。熊本県によると、納税通知書は登記からおよそ5か月〜1年後に届きます。住宅や住宅用地の軽減は、申告して適用されるものがあります。海外に住んでいる場合は、通知を受け取る人を先に決めておく必要があります。
もう一つ、売主が非居住者の場合は注意が要ります。買主は代金を支払うとき、原則として10.21%を源泉徴収して税務署に納めます。個人が自分や親族の住まいとして1億円以下で買う場合は不要です(国税庁 No.2879)。2027年分からは、この10.21%の内訳が所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税の3つになりますが、合計の税率は変わりません(国税庁)。
同じ立場の人がどう進めたかは、atlas TALK で聞けます。
持っている間・貸したとき・売るとき

持っている間 毎年1月1日時点の所有者に、市町村から固定資産税がかかります。標準税率は1.4%で、市町村が条例で定めます(総務省)。市街化区域内では都市計画税(上限0.3%)がかかることがあり、熊本市は0.3%です(熊本市)。都市計画税を課していない市町村もあるので、物件のある市町村の扱いは別です。
貸したとき 日本の不動産を貸して得た賃料は、日本で課税されます。非居住者が貸主の場合、借主が法人などであれば、賃料の20.42%を源泉徴収して納めます。個人が自分の住まいとして借りる場合は不要です(国税庁 No.2880)。源泉徴収されていても、確定申告で精算します。
売るとき 売却益も日本で課税されます。前に書いたとおり、買主が10.21%を源泉徴収する場合があり、確定申告で精算します。
賃貸や売却で確定申告が必要になる非居住者は、納税管理人(申告や納付を代わりに行う人。個人でも法人でもよい)を決めて、税務署に届け出ます。申告期限は翌年3月15日です(国税庁リーフレット)。台湾など居住地の国・地域との取り決めで、扱いが変わることがあります。
熊本で買う前に確認しておきたい3点

- 自分は「居住者」か「非居住者」か:外為法と税金とでは、判定の基準が違います。外為法は財務省の基準で、入国から6か月以上たつと原則として居住者です。源泉徴収と確定申告は所得税法の基準で、日本国内に住所があるか、引き続き1年以上の居所があるかで決まります。どちらに当たるかは、基準ごとに別々に判断します。なお、買うときの源泉徴収は、買主ではなく売主が非居住者かどうかで決まります。
- 物件が安全保障上の区域にかかっていないか:熊本県では、自衛隊の施設や熊本空港の周辺おおむね1,000メートルが注視区域・特別注視区域に指定されています。届出が要るのは特別注視区域(健軍駐屯地・北熊本駐屯地の周辺など)で、熊本空港の周辺(熊本市・大津町・菊陽町・西原村・益城町)は注視区域です。区域は内閣府のサイトで確認できます。
- 税の軽減措置の期限:不動産取得税の3%と宅地の2分の1、印紙税の軽減は2027年3月31日まで、土地の登録免許税1.5%は2029年3月31日までです。期限をまたぐ取引では、決済日によって税額が変わることがあります。
制度は動いています。政府は2026年1月23日に外国人との共生に関する総合的対応策を決め、外国人による土地取得のルールの在り方を内閣官房の検討会で議論しています(2026年10月時点で第5回まで開催)。今後も手続きが変わる可能性があります。
まとめ

| 論点 | 事実 | 読者への示唆 |
|---|---|---|
| 買えるか | 外国籍・海外在住でも取得できる | 手続きが増える分、日程に余裕をみる |
| 外為法 | 非居住者は取得から20日以内に報告(2026年4月から、住む目的の購入も対象) | 代理で出せる。仲介会社に頼める |
| 登記 | 2026年10月5日から国籍の申出が必要 | 旅券の写しを用意する |
| 取得時の税 | 登録免許税・不動産取得税は評価額にかかる | 税と手数料の分を物件価格とは別に見込む(仲介会社に概算を出してもらう) |
| 保有・賃貸・売却 | 日本で課税。貸す・売るなどで確定申告が要る非居住者は、納税管理人を決める | 買う前に申告の担い手を決める |
手続きの順番が分かったら、あとは物件選びを楽しんでください。
※2026年10月時点の情報です。税・在留資格の個別の判断は、税理士などの専門家の領分です。
次の一歩
- 同じ立場の人がどう進めたかを atlas TALK で聞く
- 熊本のマンションの値段を台湾の坪単価と同じ物差しで比べるなら「熊本のマンション価格と地価は台北の何分の1?」
- 熊本県内で公開されている売買物件の情報を atlas でまとめて見る(各物件の取扱会社が掲載している情報です)
出典
- 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表
- 国税庁 No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置
- 熊本県 不動産取得税
- 熊本県 住宅用土地と住宅の不動産取得税の軽減【具体例】
- 国土交通省 宅地建物取引業法関係(報酬額告示の改正 令和6年7月1日施行)
- 総務省 固定資産税の概要
- 総務省 都市計画税
- 熊本市 都市計画税
- 国税庁 No.2879 非居住者等から土地等を購入したとき
- 国税庁 No.2880 非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき
- 国税庁 リーフレット「非居住者又は外国法人が日本国内の不動産を賃貸・譲渡した場合には確定申告が必要となる場合があります」(令和8年4月1日現在)
- 国税庁 No.1923 海外勤務と納税管理人の選任又は解任
- 財務省 本邦不動産の取得に関する報告制度の概要
- 財務省 外為法に基づく本邦不動産取得報告 よくあるご質問(FAQ)2026.6版
- 財務省 外為法関連省令の改正(令和8年2月20日発表・4月1日施行)
- 法務省民事局長通達 法務省民二第872号(令和8年9月4日)不動産登記規則の一部を改正する省令の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて
- 法務大臣閣議後記者会見の概要(令和7年12月16日)
- 内閣府 重要土地等調査法
- 内閣府 重要土地等調査法 届出について
- 内閣府 特別注視区域(熊本県)
- 内閣府 注視区域(熊本県)
- 国土交通省 報酬額告示(令和6年国土交通省告示第949号による改正後の本文)
- 熊本市「市税のしおり」令和7年度版
- 内閣官房 外国人との秩序ある共生社会の実現(総合的対応策、外国人による土地取得等のルールの在り方検討会)
- 熊本市 重要土地等調査法に基づく区域の指定について
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