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熊本地震のあと家を買うときに見ること
建てた年・耐震等級・地図・保険

令和8年熊本地震のあとに熊本で家を買うのは、不安なことだと思います。ただ、揺れに強い家と、水や地盤の弱点が少ない土地は、書類と地図である程度見分けられます。建てた年、耐震等級、ハザードマップ、地震保険の見方が分かれば、落ち着いて選べます。

2026年10月19日 更新atlas 編集部(株式会社iSELL)約8分で読めます

新しい木造の戸建てを見上げる夫婦の後ろ姿

この記事でわかること

  • 令和8年熊本地震で、いま分かっていること
  • 建てた年を見る:1981年6月と2000年6月
  • 耐震等級と住宅性能表示を見る

令和8年熊本地震(2026年7月28日)で被災された方々に、心からお見舞い申し上げます。

地震のあと、「いま熊本で家を買って大丈夫か」と迷う人もいると思います。地震の起きない土地はありません。ただ、揺れに強い家と、水や地盤の弱点が少ない土地は、買う前に、書類と地図である程度確かめられます。

見るところは、建てた年、耐震等級、ハザードマップ、重要事項説明、建物の調査、地震保険の6つ。一つずつ押さえれば、不安は小さくなっていきます。数字は2026年10月時点の公表資料のものです。

令和8年熊本地震で、いま分かっていること

補修を終えた住宅街の道と塀

気象庁によると、2026年7月28日16時27分、熊本県熊本地方の深さ16kmでマグニチュード7.1の地震が起き、宇城市と氷川町で震度7を観測しました。気象庁はこの地震と、その後の一連の地震活動を「令和8年熊本地震」と名付けています。

atlas がよく扱う4つの市町の震度は、熊本市は南区で6強(西区・北区は5強)、合志市と大津町が6弱、菊陽町が5強でした(気象庁・内閣府)。

住家の被害は、熊本県全体で全壊2,408棟、半壊7,802棟、一部破損59,384棟と報告されています(内閣府、10月5日12時時点の速報。今後も変わることがあります)。県内の被災建築物応急危険度判定は8月13日に終わったと公表されています。

建物がなぜ壊れたかの分析は、まだ途中です。 国土交通省と建築研究所は、8月31日に原因分析の委員会の第1回を開きました。木造などの被害調査の速報は出ていますが、委員会としての結論はまだ公表されていません(2026年10月21日時点)。そのため、結論が出ている2016年の熊本地震の分析を手がかりにします。

建てた年を見る:1981年6月と2000年6月

建築中の木造住宅の柱と金物

建物の耐震性を見る最初の目安は、いつの基準で建てられたかです。区切りは2つあります。

区分目安意味
旧耐震1981年5月以前今の耐震基準より前の基準
新耐震1981年6月以降今の耐震基準の考え方で建てられた
2000年基準(木造)2000年6月以降木造の柱や筋かいの接合部などの仕様が明確になった

2016年の熊本地震で被害の大きかった益城町中心部の調査では、木造住宅のうち倒壊・崩壊した割合は、旧耐震で約28%、1981年6月〜2000年5月で約9%、2000年6月以降で約2%でした(国土技術政策総合研究所・建築研究所の委員会資料、2016年9月)。

同じ資料では、1981〜2000年の木造で倒壊したもののうち接合部を確かめられたものは、すべて2000年に明確化された接合部の仕様を満たしていなかったとしています。2000年以降でも倒壊した7棟があり、うち3棟は接合部の仕様が不十分、1棟は敷地の崩壊や基礎の傾きが見られました。建てた年は目安で、それだけで安心はできません。

中古住宅では、建てた年を「建築確認」の日付で確かめるのが一般的です。確認済証や検査済証、図面が残っているかは、売買の話が進んだ段階で、売主や仲介会社に見せてもらいます。

耐震等級と住宅性能表示を見る

机の上の図面と書類と三角スケール

新築や比較的新しい家では、住宅性能表示制度の「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)」が分かることがあります。

  • 等級1:建築基準法が求める水準
  • 等級2:その1.25倍の地震の力に耐える水準
  • 等級3:その1.5倍の地震の力に耐える水準

(日本住宅性能表示基準)

2016年の熊本地震では、益城町中心部の調査範囲で、住宅性能表示を使った耐震等級3の木造住宅16棟のうち14棟が無被害、2棟が軽微または小破でした(同委員会資料)。委員会は、より高い耐震性を選ぶときに住宅性能表示を使うことは有効だとまとめています。

等級は、評価書があって初めて確かめられます。「等級3相当」という言い方は、評価書を取っていない場合に使われることがあるので、見るのは評価書(設計と建設の両方)があるかです。

ハザードマップで、水・土砂・液状化を見る

高い位置から見た川と平野と住宅地

地震のあとは揺れに目が向きますが、令和2年7月豪雨では、球磨川流域を中心に大きな浸水被害が出ています(熊本県)。家を選ぶときは、洪水・土砂災害・液状化をまとめて見ておきます。

市町見られる地図
熊本市洪水・高潮・津波・土砂災害(2026年2月作成)、揺れやすさと建物全壊率(2011年3月作成)、液状化(2014年2月作成)。Web版あり
菊陽町総合防災マップ(Web版)
合志市堀川のハザードマップ、内水ハザードマップなど
大津町洪水・土砂災害ハザードマップ(2023年3月作成版。北部と中部・南部の2枚)。白川については熊本県の白川ハザードマップも参照

市町をまたいで比べたいときは、国土交通省の「重ねるハザードマップ」で住所を入れると、洪水や土砂災害などの区域を1枚の地図に重ねて見られます。土砂災害の区域は、熊本県の土砂災害情報マップでも確認できます。

作成された年に注意してください。 熊本市の液状化マップは2014年、揺れやすさマップは2011年の作成で、2016年と2026年の地震より前のものです。地盤の状態が気になる土地は、地図だけで判断せず、地盤調査の結果があるかを売主に聞くか、専門家に相談してください。

重要事項説明と、建物の調査で確かめる

点検口から床下をライトで照らす手元

重要事項説明で聞けること 買う前に、宅地建物取引士が書面で重要事項を説明します。2020年8月28日からは、市町村の水害ハザードマップ(洪水・雨水出水・高潮)で、物件がおおよそどこにあるかを示して説明することが義務になりました(国土交通省)。土砂災害警戒区域などに入っているかも、説明の対象です。1981年5月31日以前に工事を始めた建物は、耐震診断を受けていればその内容も説明されます。受けているかどうかは、説明の場で聞けます。

建物状況調査(インスペクション) 中古住宅では、2018年4月1日から、仲介会社は次のことをしなければなりません(国土交通省)。

  1. 仲介の契約のとき、建物状況調査をする人をあっせんできるかを書面で示す
  2. 重要事項説明のとき、1年以内(鉄筋コンクリート造の共同住宅などは2年以内)に調査をしていれば、その結果の概要を説明する。確認済証や検査済証などの書類が保存されているかも説明される
  3. 売買契約のとき、建物の状態について売主と買主が確認したことを書面にする

調査は義務ではありませんが、地震のあとに中古住宅を買うなら、買う前に建物を見てもらうことを強くすすめます。2026年の地震で受けた被害と、その補修の内容も、売主に書面で出してもらいます。

地震保険を確かめる

家具を壁に固定した明るいリビング

日本の火災保険では、地震が原因の火事(延焼を含む)による損害は、原則として補償されません。 そのために地震保険があります(財務省)。

  • 火災保険とセットで入る(火災保険が前提)
  • 保険金額は火災保険の30〜50%の範囲で決める。上限は建物5,000万円、家財1,000万円
  • 損害の程度で、全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%が支払われる
  • 保険料の割引:免震建築物50%、耐震等級3で50%・等級2で30%・等級1で10%、1981年6月1日以降の新築で10%など(重ねては使えない)

地震保険は家を建て直す全額をまかなうものではなく、生活を立て直すための保険です。耐震等級の評価書は、保険料の割引にも使えます。

買う前のチェックリスト

地図とチェックリストを見ながら家選びを相談する2人
見ることどこで確かめるか
建てた年(1981年6月・2000年6月の前か後か)確認済証・検査済証・登記
耐震等級住宅性能評価書
洪水・土砂・液状化各市町のハザードマップ、重ねるハザードマップ
2026年の地震での被害と補修売主への確認(書面で)
建物の今の状態建物状況調査(インスペクション)
地震保険の条件保険会社・代理店

一つずつ見ていけば、納得して選べる家に近づきます。


気になる地域が地震のときどうだったか、いまの暮らしはどうかは、住んでいる人の話も参考になります。

※2026年10月時点の情報です。令和8年熊本地震の被害の数字は速報で、今後変わります。個別の建物の耐震性や地盤の判断は建築士などの専門家の領分、保険の内容は保険会社の領分です。

出典

  1. 気象庁「令和8年7月 地震・火山月報(防災編)」日本の主な地震活動(令和8年熊本地震の命名、震度、被害の引用)
  2. 気象庁 強震観測データ「2026/7/28 熊本県熊本地方の地震」(観測点ごとの震度)
  3. 内閣府「令和8年熊本地震による被害状況等について」(版の一覧)
  4. 内閣府「令和8年熊本地震に係る被害状況等について」(令和8年10月5日12時現在)
  5. 内閣府 防災情報「令和8年熊本地震」
  6. 国土交通省 報道発表「令和8年熊本地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会(第1回)を開催します」(2026年8月18日)
  7. 国土技術政策総合研究所・建築研究所「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」資料1(2016年9月12日)
  8. 国土交通省 報道発表「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について」(2016年9月30日)
  9. 国土交通省告示「日本住宅性能表示基準」(住宅性能表示制度。耐震等級)
  10. 国土交通省 報道発表「不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化」(2020年7月17日。2020年8月28日施行)
  11. 国土交通省 報道発表「「宅地建物取引業法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」を閣議決定」(2016年12月20日。建物状況調査は2018年4月1日施行)
  12. 財務省「地震保険制度の概要」
  13. 熊本市「ハザードマップ等の防災情報を確認できます。」(洪水・土砂災害は2026年2月作成、液状化は2014年2月作成)
  14. 熊本市 防災対策課「宅地建物取引業者の皆様へ(重要事項説明等に関して)」(2026年6月)
  15. 菊陽町「菊陽町総合防災マップ(Web版)」
  16. 合志市「ハザードマップ」
  17. 大津町「大津町洪水・土砂災害ハザードマップ」(2023年3月作成版)
  18. 熊本県「土砂災害情報マップ」
  19. 熊本県「令和2年7月豪雨の記録と復興への歩み」
  20. 国土交通省「ハザードマップポータルサイト(重ねるハザードマップ・わがまちハザードマップ)」

この記事を読んだあとに

家賃や住み心地は、住んでいる人の経験も参考になる。

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